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【コーヒーが冷めないうちに(小説・映画)】の感想

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※またネタバレほどの内容開示はないですが、ごく一部の内容公開を含みます

映画としてのまとまり

小説は2015年、映画化は2018年の作品です。

この作品はオムニバス形式のような一面もあり、ドラマの数話をつなげたようにも見えますが、最後はしっかりと、映画としてまとまっています。

もとは演劇作品らしく、多様な表現をされている作品でもあります。

私はオーディオブックで『コーヒーが冷めないうちに』を聴き、映画も観ました。

映画の内容は小説のところでいう『コーヒーが冷めないうちに』と『この嘘がばれないうちに』を合わせた作品というのが後から分かりました。

『この噓がばれないうちに』も聴いてみたいと思います。

コポコポ...

4話で構成される内容で、過去への戻り方を、カフェの中にプールを張ったような中に沈み込むような形で演出されています。

そして要所要所で出てくる『コポコポ...』とした音。

それらから作品に浮遊感を感じますし、またカフェが舞台なので、やはりカフェに行きたくなっちゃいます。

気が強い人について

吉田羊さんが主役の回についてです。

この作品で吉田羊さんは気丈な女性を演じています。

私はあまり気の強い女性は得意ではありません。

しかしこの人は、人知れない悲しみを人に見せるのが嫌いなだけです。

ちゃんと影では悲しんでいるのです。

不器用な思いもはらませながら。

気の強い女性にも寛容になれる、心の器を持ちたいと思いました。

そして吉田羊さんの妹役である松本若菜さん

かなり美人さんですが、非常に人間味あふれる役柄を演じきっています。

この作品を観るまでは全く知りませんでしたが、心の底から感情を表現できる良い役者さんだと思いました。

艶やかさ

全体として、ささやかな艶(あで)やかさがあります。

何というか、物語の端々にキラキラとしたものを感じます。

過去は変えられない

タイムスリップが主軸にある本作ですが、いろいろと面倒くさいルールがありまして、その中の一つに「過去は変えられない」というのがあります。

本当かウソかも分からないこの噂は、面倒くさいルールのお陰で噂の程度に収まっています。

タイムスリップする人たちは皆、過去は変えられていません。

代わりにタイムスリップした人たち自身の「心」は変わりました。

私たちは今日を生きるまでに、様々な過去を乗り越えてきたと思います。

変えられない過去を受け入れながら、またどんな形でも向き合っている私たちは、なんというかすごい。

何というか、みんなが特別な存在じゃないかと思うんです。

この物語はタイムスリップを通しての成長を描いていますが、私たちはタイムスリップなしで日々成長し続けています。

自分をたまには褒めてあげてください。

同じような日常の中で

さっきも言ったように、私たちはいろんなことを乗り越えて今日を生きています。

その世界線―それぞれの人生は交錯しながらも、他の人の人生はなかなか見えづらいです。

本当のところというのは。

それでも見えないところで支え合って助け合っている。助けられている。

たとえ表面的にはいがみ合うことがあろうとも、時が過ぎればまた助け合っていることも多いです。

同じような風景でも、人も未来も変わってゆきます。

自分においても周りにおいても、その事を忘れないようにしながら、日々の端々にある幸せを感じられるように生きていきたいです。

松重豊さんが良い味出してる

松重豊さんやっぱりすごいですね。

薬師丸ひろ子さんと向かい合い涙を浮かべるシーンは忘れられません。

色んな表情ができられる方です。

何というか、「生」を感じる。

松重豊の回では、カフェの絵画の色調がピンクを主体にされていました。

何か意図があるのでしょうか。

これからも私たちは

これからも私たちは、何度でも間違うでしょう。

そして何度でも間違い合うでしょう。

でもその人それぞれの奥底にある、思いやる心だけは忘れずに生きたい。

そう、私は生きたいのです。

試されていますね。

ちなみに、伊藤健太郎さんは冒頭のシーンでは端役かと思っていましたが、かなり主要人物だったのですね。

エンディング

エンディングも楽しめます。

エンドロールにその後のシーンがあって、その中に未来ちゃんとのふれあいもあります。

エンディング曲がYUKIなのも手堅いです。

最後まで楽しめます。

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